STEP01
講義#02
所要時間3分
今回の講義では「なぜ仏教が生まれたのか?」について説明していきます。
講義で学べるポイント!
- 四門出遊とは?
なぜ、仏教が生まれたのか?
まずここで重要なのは、お釈迦さまは、私たちと同じ人間だったということです。
王族の子として生まれ、結婚をし、子どもも授かったと言われています。
しかし、ある日を境にお釈迦さまはその生活を捨てて出家することになります。
当時のインドにおける出家(出世間)とは、世俗の生活(俗世間)との関わりを捨てて、修行者としての生活をおこなうことです。
正しい生活規範を守ることを誓い、仏道修行に励むのです。
「仏教」とは、お釈迦さまが出家をされることとなった体験から始まったのです。
お釈迦さまが出家を決意したエピソード
お釈迦さまが出家をする前、まだ太子であったときのこと。郊外の遊園に遊びに行くためにカピラ城(出家をされる以前のお釈迦さまが住まわれていた場所)から出られた時のことです。
①東門を出たとき、老人に出会いました。
そこで、「なんで人は老いていくのだろう…」と老いの苦しみを実感しました。
②南門を出たとき、病人に出会いました。
そこでは、「どうして人は病に苦しむのだろう…」と病にかかる苦しみを実感しました
③西門を出たときには死者の葬列に遭遇しました。
そこで「人はいつか死んでしまうのか…」と死を迎える苦しみを実感しました。
④最後に北門を出たときにと出家者 (沙門) の堂々たる姿に出会いました。
ここでお釈迦さまは「出家こそが自らが求めていたものである」と思われました。
北門で出会った出家者の姿こそ、自分の進むべき道と見出されたのです。
このエピソードが太子(後のお釈迦さま)が出家を志す大きな機縁になったといわれる四門出遊(しもんしゅつゆう)の物語です。
これこそが、お釈迦さまが悟りを開き、私たちを救う教えを説かれることとなった、そもそものきっかけです。
つまり、「仏教」といいうものは、お釈迦さまが悟りを開かれる以前の体験からスタートしています。この点から、仏教は実践的な宗教であるとも考えられるのです。
宮澤賢治有名作品にも記されている?
実は、この「四門出遊」は、宮澤賢治(1896‐1933)の有名作品『雨ニモマケズ』にも記されています。以下に引用し、本文のみを紹介いたします。
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
お釈迦さまの人生における経験から、仏教は誕生しました。
そして、世界三大宗教のひとつにも数えられるほどにまで流布し、世界の各地で信仰されているのです。
仏教はお釈迦さまの苦しみの原体験がもとになっていることがわかったと思います。
それでは次の講義では、仏教で定義されている8つの苦しみについて見ていきましょう!