STEP03
講義#02
所要時間3分
仏教の世界観を知ろう②
私たちの生きる世界(十界)
仏教では十界とう10つの世界があります。
私達はどの界に存在しているのでしょう?
講義で学べるポイント!
- 十界とはなにか?
私たちの生きる世界(十界)
仏教では迷う者や悟りを得た者を十種の世界に区分する考えがあり、それを「十界(じっかい)」といいます。下位より上位にむかって、次の通りとなります。
- 地獄(じごく)界
- 餓鬼(がき)界
- 畜生(ちくしょう)界
- 阿修羅(あしゅら)界
- 人間(にんげん)界
- 天上(てんじょう)界
- 声聞(しょうもん)界
- 縁覚(えんがく)界
- 菩薩(ぼさつ)界
- 仏(ぶつ)界
1-6までの世界を「六道」といいます。
六道輪廻という言葉は聞いたこともある人がいるのではないでしょうか?
上の絵は六道輪廻図といい、一番上から時計回りに「天界」「人間界」「畜生界」「地獄界」「餓鬼界」「阿修羅界」を表しています。
「六道」は、もともとはインドに古くからあるの世界観を仏教が踏襲したもので、生命が輪廻を繰り返す世界を六つに分けたものをさします。
加えて「声聞界」「縁覚界」「菩薩界」「仏界」は「四聖」といいます。
「四聖」は仏道修行によって迷いの世界から抜け出すことで得られる境地です。
これらの十種の世界を、「六道」や「四聖」以外にも、まとめて総称する名称として、次のようなものもあります。
- 三悪道(さんあくどう)・・・地獄・餓鬼・畜生の三界
- 四悪趣(しあくしゅ)・・・地獄・餓鬼・畜生・阿修羅の四界
- 三善道(さんぜんどう)・・・阿修羅・人間・天上の三界
お寺のきな位牌や卒塔婆には、「六道四聖法界萬霊(ろくどうししょうほうかいばんれい)」と書いてあることがあります。上位の四界を「四聖」、下位の六界を「六道」といい、「六道四聖」とは全てのものを指し、それらに対して供養する意味になります。
私たちは、生前の善業(善きおこない)に応じて、六道を輪廻転生するといわれています。また、声聞から仏までの四聖は、輪廻転生から抜け出した存在であると考えます。しかしながら、究極的な悟りの世界は仏界だけであるとの考えもあり、菩薩界以下の九界を迷いの世界と解釈する場合もあります。
十界は心のありようを表している??
仏教における10種類の世界の区分ですが、これらは私たちの心の様子を反映しているという解釈があります。(主に天台教義においてこの説明がされます。)
ではそれぞれどのような世界なのでしょうか?
地獄界
あらゆる怒りや恐怖に苛まれた状態
本来は「苦=思いどおりにいかない」というものが前提にあるにも関わらず、自分中心的に考えるあまり、その「苦」に対して怒りや恐怖を感じている状態です。
他人だけでなく自分のことすら認めることが出来ず、相手を傷つけたり、自分を傷つけてしまう苦しみが続いた状態です。
餓鬼界
目の前の欲に執着する餓鬼の状態。
この状態は常に満足することがありません。
もっと欲しい、もっとやりたいと常に不足を感じている状態です。
そのため、常に飢えた状態で、自分勝手に考え、自分さえ良ければいいと勘違いしてしまします。
畜生界
まるで動物のように本能のままに行動する状態。
本来なら人間には理性があり、本能を制御することが出来ます。
しかし、知恵が足りずに、目の前のことしか考えず、考えもしないで本能のままに行動する状態です。
阿修羅界
常に争いを続ける状態。
修羅場という言葉を聞いたことがあると思います。
修羅場とは争いの場のことです。
本来ならば相手のことを思いやり、対話によって問題を解決します。
しかし、相手の気持ちも考えずに自分の都合を相手に押し付け、されにそれを争いによって解決しようとする状態です。
人間界
不安や恐怖や疑いから相手を信じることが出来ず、また自分を信じることが出来ずに疑心暗鬼になってしまいます。
しかしそこで、阿修羅、畜生、餓鬼、地獄のような心の状態にならずに、冷静に対処しようという気持ちがある状態です。
天上界
「喜び」を感じる状態。
何か優しい気持ちや喜びに満ちた心の状態です。
しかし、その喜びは一時的なもので、また時間が経つと、不安や恐怖の世界にもどってしまします。
この喜びの気持ちを長く続けることが重要ですね。
声聞界
仏法を学んでいる状態。
声を聞くと書いて声聞といいます。
何の声を聞くのでしょうか?
答えは、仏さまの声です。
仏教の世界に踏み込み、迷いや苦しみから抜け出すために、仏法(真理)を学んでいる状態を声聞界といいます。
縁覚界
自分の内面において自意識的な気づきに至った状態。
縁を覚る(縁によって覚る)と書いて縁覚といいます。
縁とは仏さまの縁であり、本来人間に備わっている仏の心の状態に気づく状態です。
そして仏の境地に近づこうと、精進し努力する心の状態をさします。
菩薩界
利他の行動する状態。
自分だけが満足してもダメです。自分だけの心の状態が良くてもダメです。
自分だけでなく、家族、友人など他人のために行動する、または他人のためになにかしてあげたいと思う気持ち。
それが菩薩界の心の状態です。
他の十界とは違って、菩薩界だけは心の状態よりは、実際に他人のために行動する、行為そのものをさすことが多いです。
仏界
悟りを開いた状態。
仏教の知恵を学び、そして仏法に基づいて修行を詰むことで、迷いがなくなる心の状態です。
そして、それは本来私たちの心の中にある、優しい静かな状態なのです。
以上が「十界」の説明になります。
仏教の世界観である十界は実は私たちの心の状態なのです。
そして私たちは迷いの世界から抜け出すために、真実を知り、真実にそって行動する(良い原因を作る)ことが求められているのです。
それでは次の講義では、輪廻転生という言葉でもおなじみの「生まれ変わり」について仏教の世界観を説明いたします。