用語解説
#07
所要時間3分
【五戒】在俗信者の保つべき5つの戒…仏教用語わかりやすく説明
五戒と言われている在俗信者の保つべき5つの戒をわかりやすく説明いたします。
講義で学べるポイント!
- 五戒とは?
- 五戒それぞれの戒は?
5戒在俗信者の保つべき5つの戒です。
在俗信者とは家に住居し仕事も家庭も営みながら信仰生活をおくる人のことで、かんたんに言うと僧でない信者という事になります。
要するに、仏道を歩むと決心した一般(僧ではない)の人ということになります。
そんな在俗信者が守るべき5つの行動指針、それが5戒です。
- 不摂生
- 不偸盗
- 不邪淫
- 不妄語
- 不飲酒
の5つです。
5戒をそれぞれ解説
不摂生
生きとし生けるもの全ての生物を故意に殺してはいけません。
不偸盗
他人のものを盗んではいけません。
不邪淫
不道徳な性行為を行ってはいけません。
不妄語
嘘をついてはいけません。
不飲酒
酒類を飲んではいけません。
この5つが5戒になります。
皆さんは守れてますか?
この5戒は非常に難しい問題です。
不摂生を考えてみても、私達はなにかの命を頂いて生活しなければいけません。
牛肉、豚肉、鶏肉様々は生き物の命を頂いています。
では当時の受戒を授かった人は肉類を食べなかったのでしょうか?
実は、「三種の浄肉」というルールもあって、
- 殺されるところを見ていない
- 自分に供するために殺したと聞いていない
- 自分に供するために殺したと知らない
という回避条件もあるようです。
これを見ると直接手を下してなければいい。
というような解釈になってしまいますよね。
この問題をどう捉えるのか?
一人ひとりが真剣に考える必要があると思います。
例えば、受戒していない人はこの戒を守らなくて良いのか?
そんな問題もでてきます。
また、当時の出家という定義も現在とはかけ離れており、どのように解釈するかは難しい問題です。
そこで仏教では自分の欲と向き合うための気づきになる言葉があります。
少欲知足
それは少欲知足という言葉です。
少欲=「しょうよく」
欲が少なく、今以上のものを欲しがらないということです。
知足=「たるを知る」という意味で、現状のままで十分足りていると満足すること。
つまり、現状で十分幸せだと言うことを知り、これ以上欲張らずにいましょう。
という意味です。
欲というのは際限なく湧いてきます。
1の欲を満たしてもまた別の欲が湧いてくる。
正直この「少欲知足」を知ったとしても欲を抑えきることは出来ません。
簡単に出来るなら、そもそもこの言葉自体存在しないはずです。そんな煩悩(欲)にまみれた私達だからこそ、お釈迦様の教えを通じて、自分を見つめていく必要があるのだと思います。
5戒の歴史的背景
原始仏教時代には既に成立していたと言われています。
基本的には行為に関する表面的な成約にすぎず内面的な心の動きは問わないとされています。
殺そうと思ってしまって、実際に殺さなければこの5戒は守ったことになります。(殺そうと思うこと自体また別の問題がありますけど…)
この内面的な成約がないという観点から十善戒に劣るとされ、大乗仏教の興起時では、基本的に小乗仏教側の持する戒として重んじられなかったという背景があります。
また、大乗仏教中期(3世紀頃)以降になると再び重視されるようになりました。
そのため今日でも在家信者の戒の代表的な地位をしめています。
比丘となるために受戒する場合もこの五戒から受け直すことになっており、いずれの場合も三帰依の後にうけるのを通例とします。
五戒の特定の戒だけを受ける分受というものも存在しており、この分戒については意見が諸説ありますが分戒を認める部派もあったと言われています。