用語解説
#01
所要時間3分
【三法印】は仏教の到達目標?…仏教用語わかりやすく説明
三法印は仏教教理(教えの体系)の特徴を表している3つの印とされています。
この三法印を知ることで仏教の本質に少し近づけるのではないでしょうか?
講義で学べるポイント!
- 三法印とは?
- 四法印とは?
- それぞれ4つの意味は?
三法印、四法印とは?
三法印は仏教教理(教えの体系)の特徴を表している3つの印とされています。
印は今風にいうと標語と訳してもわかりやすいかもしれません。
それでは三法印+1である4つの標語をそれぞれ紹介していきます。
- 諸行無常
- 諸法無我
- 涅槃寂静
この3つが三法印と言われています。
さらに、一切皆苦を加えて四法印とも言うこともあります。
『涅槃経』に「一切行無常、諸法無我、涅槃寂滅、これ第一義なり」と書かれていることからもこの三法印が重要な指針であるということがわかりますね。
それでは三法印をそれぞれわかりやすく説明していきます。
諸行無常
この言葉は、平家物語の冒頭にも出てくるので聞いたことがある人が多いのではないでしょうか?
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という句です。
諸行とは、諸々の行為、現象、作られたものという意味があります。
仏教の思想では私達の認識するあらゆるものは、直接的であれ間接的であれ全てに原因(因果)があり、今のその状態はただ偶然にそのように現れている現象でしかないと考えます。
一瞬、一瞬が何かの原因によって現れているので、一見同じように見えていても、全く別の作用の結果であると言えるのです。
つまり、全ての現象は常に変化しており、それは人間やものも含めてあらゆるものは全て一瞬たりとも同一ではないと言うことです。
これはよく川に例えられます。
今見ている川と10秒前に前に見ていた川は全く同じ川のはずです。しかし、水は常に流れており、さっき見ていた水はもう、流れており、今見ている水は別の水です。
まるで川の水の流れのように一瞬たりともそこにはとどまっていないのです。
諸法無我
少し聞き慣れない言葉で難しいと思います。
諸法とは諸々の法(法則、本質)という意味で、私達が認識する対象である全てのものの存在を意味します。
また、その存在を成立させている永遠不変の本質(真理)を意味します。
つまり、全てのものは直接的・間接的に様々な原因が作用しており、それらの原因が失われば、その存在は消滅し、そこにはなんの実態も存在しないのです。
そのため、私達が認識しているものは、本質的には実態がなく、執着することは虚しい間違ったことだとしています。
涅槃寂静
涅槃寂静とは煩悩の炎が消えた悟りの世界を表します。
その悟りの世界(涅槃)は静やかなやすらぎの境地(寂静)であるということを表しています。
一切皆苦
すべてのものは苦しみであるという意味です。
皆という言葉は、行と同じ意味です。
行は行為、現象、作られたもですので、
仏教では苦を、苦苦、壊苦、行苦の3つに分類します.
それぞれ、
- 苦苦→肉体的な苦痛
- 壊苦→失うことによる精神的な苦痛
- 行苦→迷いの世界そのもの
この行苦が皆空と同じ意味ということです。
つまり、
あらゆるものは迷いの世界そのものであるという意味になります。
この苦しみは=辛いという意味で理解するよりも、
「自分の思い通りにならない」というふうに理解したほうが、わかりやすいと思います。
つまり、全てのものは自分の思い通りにはならないですよ(皆苦)というのがこの一切皆苦なのです。
三法印、四法印のまとめ
以上4つが仏教教理にとって重要な4つの印(標語)である三法印+一法印でした。
聞き慣れない考えが多くて少しわかりにくいかもしれませんが、そんなにすぐに腹落ちできるほど具体的なものでもないです。
そんな思い通りにならないことも、仏教が教えてくれていることなのかもしれないですね。