用語解説
#10
所要時間3分
祇園精舎についてわかりやすく説明します。
講義で学べるポイント!
- 祇園精舎とは?
- 現在の場所は?
- 祇園精舎にまつわるエピソード
祇園精舎とは?
祇園精舎はお釈迦様が何度も説法を行った場所で、
天竺五精舎といって釈迦の時代にあった5つの代表的な寺院の1つと言われています。
どこにあるの?
インドのコーサラ国首都シュラーヴァスティー(舎衛城)、現ウッタル・プラデーシュ州シュラーヴァスティー県にあります。現在は祇園精舎一帯は歴史公園に指定されています。
祇園精舎にまつわるエピソード
インドのコーサラ国に、スダッタという大富豪がいました。
彼は身寄りのない者に食事を提供していたため、人々から「給孤独長者」 と呼ばれていました。
そんなある日、スダッタは、お釈迦様の説法を聞きました。
その内容に感動し、スダッタはお釈迦様の教えに従って生きていくことを決めました。
当時の仏教教団は基本的には一年中歩きまわって布教・托鉢などの修行を行っていましたが、
雨季だけは、は虫や植物などを多く踏みつけて殺生してしまうため建物内で修行するようになっていました。
しかし、教団にふさわしい建物がなかったため、スダッタはお釈迦様に説法のための寺院(精舎)を寄付しようと思い立ちます。
そして見つかった土地が、ジェータ太子の所有する園林でした。
スダッタはジェータ太子に土地を譲って欲しいと頼みました。
するとジェータ太子が冗談半分で「必要な土地の表面を金貨で敷き詰めたら譲ってやろう」と言います。
まさか本当にするとは思っていなかったにも関わらず、スダッタが本当に金貨を敷き詰め始めたため、ジェータ太子は驚いて、そのまま土地をスダッタに譲り更に自分も樹木を寄付して、寺院を立てたと言われています。
平家物語の一節
祇園精舎と聞けば私達は、『平家物語』の冒頭に詠われているものを思い出すのでは無いでしょうか?
原文
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
口語訳
祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きがある。沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるという物事の道理を示している。おごり高ぶっている人(の栄華)も長く続くものではなく、まるで(覚めやすいと言われている)春の夜の夢のようである。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまう、まったく風の前の塵と同じである。