STEP02
講義#04
所要時間3分
仏教を開いたお釈迦さまを知ろう④
お釈迦さまと経典
よく耳にする経典。
その経典とお釈迦さまの関係をみていきます。
講義で学べるポイント!
- 経典とはなんなのか?
- 結集を知ろう
お釈迦さまと経典
経典はお釈迦さまが説かれた教えをまとめたもので、
「般若心経」「阿弥陀経」「法華経」などを聞いたことがあると思いますが、これらの全てが経典になります。
ここで問題です。
どのくらいの数の経典があるでしょう?
答えは、「八万四千の法門」とも言われるように、84000にも及ぶと伝えられております。
私達が普段聴いているお経は、ほんの一部だと言うことが分かりますね。
では真実は1つであるはずなのに、なぜこんなに沢山の経典があるのでしょうか?
お釈迦様の説法「対機説法」
お釈迦さまは対機説法をしていたと言われています。
機とは機根といい、「その人の能力」という意味です。
つまりお釈迦さまは、1つの真実を、その人の理解度に合わせて、説法の内容を臨機応変に変えていたのです。
時には分かりやすく例え話しを用いたり、時にはストレートに伝えたりしていました。
しかし、それらはすべて、真実へと導くためであり、仏教の目標とされる「悟り」へ到達するための方法なのです。
そのため、種々様々な内容や方法が示され、残された経典は8万以上にも及ぶのです。
色んなお経がある?
お経には色んなお経が残されています。
例えば「法華経」ですが、これは「たとえ話のお経」と言われたり、あるいは八万四千のお経の王様として位置づけられるため、「諸経の王」とも言われています。
さらには、真理を示す説法だけでなく、「阿含経」では教団組織をまとめる戒律(ルール)もお釈迦さまの教えとして残されているのです。
そもそも、お経は、説法をされたお釈迦さま自らが書き残されたのではありません。ましてや、2500年前のインド社会に、漢字などは存在していません。
では、どのようにして、現在の私たちに伝えられているのか?
お釈迦さまが生きていた時代や亡くなって間もない頃は、文章で記録する術もなく、全て暗唱によって、その教えが伝えられたと言われています。
「私は●●と聞いた」
「お釈迦さまは●●と言っていたね」・・・などと、教えを聞いた者は話し合っていたのでしょう。
結集
経典としてまとめられたものを説明するとき、とても重要なことがあります。
それが結集(けつじゅう)です。
当時のインドでは、お釈迦さまの教えは全て口伝でした。
今だと想像できないかもしれませんが、文章に遺さず、人々に伝言ゲームのように伝わっていったのです。
しかし、伝言ゲームですら正しく伝えるのが難しいのに、経典ならなおさら。
そこで、正しい教えをまとめるために、それぞれお釈迦さまの説法を受けた方々が集まって、お釈迦さまより聞いた教えをまとめました。
この集まりのことを結集といいます。
仏教の歴史においては、複数回にわたっておこなわれたと伝えられています。
この結集を証明する言葉があります。
それが、「如是我聞(にょぜがもん)」と言う言葉です。
数々の経典の出だしは、この「如是我聞」で始まっているのですが、
如是我聞を書き下すと「我れ是の如く聞けり」や「我れ是の如く聞き」などとなり、
「私はこのように聞きました」と訳す事ができます。
つまり、経典は全てお釈迦さまの直接の言葉ではなく、お弟子さんを通してまとめられたものなのです。
「我」とは、結集の中心人物であった阿難だと言われています。
皆さん聞いたことありますよね?
そう、前の講義で習った、お釈迦さま十大弟子の阿難です。
聞法第一とも言われ、教えを聞く事が誰よりも得意であったため、この任務に抜擢されたと言われています。
第一結集(王舎城〈おうしゃじょう〉結集)
何回か結集が行われたと言われていますが、その中でも一回目の結集はお釈迦さまが亡くなられた年に、王舎城(ラージャグリハ)に500人の比丘が集まっておこなわれました。
迦葉(かしょう)が司会者、優波離(うばり)が律、阿難(あなん)が法を暗誦したと言われています。
説法は、サンスクリット語でまとめられました。
そして、アジアに伝わって中国で漢訳され、それらが経典として日本へと伝播してきたのです。
(インド仏教やアジア仏教の歴史については、別な項目にて詳しく説明いたします)
お釈迦さまの教えが弟子に伝えられ、弟子たちがそれをまとめ、サンスクリット語から漢訳され、現在の私たちへと伝わっているのです。
お経を読むとき、「真読」と「訓読」があります。
真読は、中国から伝わった経典の漢字を、漢音や呉音で読むことを言い、訓読はそれを日本語に書き下したものを言います。
私たちが、当たり前のように読んでいる経典ですが、それは無数の先人たちの努力によることを忘れてはならないでしょう。
次の講義ではそのお釈迦さまにまつわる行事の数々をご紹介いたします。