コラム

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所要時間3分

コラム14

【コラム】「いいですね…」とは言ってはならぬ


コラム14

講義で学べるポイント!

「雪」を見ると、思い出すエピソードがある。そして、僧侶として生きることの難しさを知った。是々非々を言えぬ苦悩。

北陸地方を中心に、年末から年始にかけては大雪であった。渋滞や事故なども発生し、犠牲になられた方の追善菩提を祈り、大雪で苦労なされている地域の皆さまにお見舞いを申し上げる次第である。
私が住む地域も、今年は本当に寒さが厳しく、特に今年は積雪の回数が多い印象を受ける。
カレンダー通りに、12月31日の大晦日から1月1日の元旦にかけても積雪があり、雪の中での年越しとなった。いつ以来のことであろうと考えずにはいられない。

今日は、昨年の冬に「雪」に関しての檀信徒との会話を受けて、私が感じたエピソードを記しておきたい。

「雪」が降らないから…

私が住む地域も、寒いとはいいつつ、昔に比べればそこまで雪が降らなくなった。毎年、少しずつは降って積もるが、ドカ雪というのは数年に一度である。
昨年の冬は、まったく雪が降らなかった。気温が高い「暖冬」といわれただけあって、車が凍ることもなかったのである。
お寺としては雪掃きをすることもなく、お参りも雪駄で歩けるので、ありがたかった。
そんなときに、檀信徒の宅へ月参りにいったときのことである。2軒の会話を、それぞれ挙げておきたい。

ケース①
婆「今年は、暖かい冬でいいねー」
私「そうですね…」
爺「田んぼと畑をやってるから、夏が心配だー」

ケース②
爺「雪が降らないと大変だ」
私「そうですね…」
婆「息子がスキー場で働いてるんだけれど、オープンできないってさ」

お分かりであろうか?
この2つは、雪が降らないことを非常に心配をしている人の声である。

夏に盛りを迎える農作物が水不足により不作となってしまうのではないか?
雪が降らないために、スキー場かオープンせず、雇用も維持できないのに、どうすればいいのか?

いずれも、私たちの冬の生活に対して、便利か?不便か?といったレベルではなく、生きるために「雪」が降らなければならないことへの懸念でもある。

そして、私は、仏門上の師匠と仰ぐ高僧より、「坊さんが、YESもNOも言ってはならないこともある」と指南された。今回の件は、それが大きく関わっている問題であり、「そうですか…」と共感するしかできないのである。
雪があることで大変に困る方がいる一方で、降らないことで困る方もいるのである。

むすびにかえて

「雪」が降ると、いつものごとく、檀信徒との会話を思い出す。そして、昔に指南された老僧の一言も思い出すのである。
是々非々を答えてはならない僧侶のあり方は、きわめて難しいと思う。ただし、「傾聴」という視点から考えれば、すべての声に耳を傾けるという姿勢は、これからも続けていかなければならないと感じるばかりである。