コラム
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コラム⑩
【コラム】『世界がもし100人の村だったら』再読

コラム⑩
講義で学べるポイント!
『世界がもし100人の村だったら』が、コロナ禍を生きる私たちに、メッセージを与えてくれているように、感じてならない。
先日のこと、修行時代の同期で、現在も仕事を共にしている仲間とのLINEで、1冊の本が、話題にあがった。
『世界がもし100人の村だったら』
小学生時分に読み、高校生や大学生の頃にも読んだ記憶があるが、30歳を過ぎた今、あらためて読む機会が与えられたように感じ、書庫を探すと、かなり奥に眠っていた。
呼び起こさなければ…と思い、また読むこととしたのである。
ご存じの方も多いだろうが、この本は、世界の60億を越える人口を、100人の村に比例させて、現状の問題について提起している内容である。
『世界がもし100人の村だったら』
「今朝、目が覚めたとき、あなたは今日という日にわくわくしましたか?」
という問題提起から始まるのである。朝を迎えられることが、如何に喜びなのかを感じずにはいられない序である。
「今夜、眠るときあなたは今日という日にとっくりと満足できそうですか?今いるところが、こよなく大切だと思いますか?」
とまたもや、2つの問いがある。
その答えについて、
「すぐに「はい、もちろん」といえなかったあなたにこのメールを贈ります」
とあり、精神の充実についても仄めかしているような気がする。
そして、序にあたる部分の最後には、
「これを読んだらまわりがすこし違って見えるかもしれません。」
とあり、ここでは、読者の感性にその判断を委ねているのである。ただし、この本は小学生でも読める内容であることから、著者が読者に感受してほしい内容は、いたってシンプルなものとも推測できるのである。
世界の63億人を100人の村に縮めるとどうなるのか?
これ以降には、
男女比
大人と子供の比率
異性愛者と同性愛者の比率
有色人種と白人の比率
宗教人口の比率
言語の比率
ここまでを挙げた段階で、
「いろいろな人がいるこの村では、あなたと違う人を理解すること、相手をあるがままに受け入れることが、とても大切です」
とあり、多様性社会を受容することの必要性が提示されている。
次には、
栄養接種率の比率
富に関する比率
エネルギーに関する比率
衣食住に関する比率
お金に関する比率
学びに関する比率
思想信条に関する比率
社会状況に関する比率
などが示されている。
その後には、「1年の間に、村では1人が亡くなります。でも、1年に2人赤ちゃんが生まれるので来年、村人は101人になります」
とあり、日本では人口減少が叫ばれている一方で、世界全体を見渡せば、人口増加にあることが窺えよう。
その後には、
「もしもこのメールを読めたなら、この瞬間、あなたの幸せは2倍にも3倍にもなります。なぜならあなたにはあなたのことを思ってこれを送った誰かがいるだけでなく、文字も読めるからです。けれど何よりあなたは生きているからです」
とある。
文字が読めるということへの喜びが感じさせられるが、それ以上に、今も命を与えられて生きられていることへの喜びは、ますます高まるのである。
次には、
「昔の人は言いました。巡り往くもの、また巡り還る、と」。
仏教でいうところの、輪廻転生であろうか。いつか来た道に、また巡りあうのである。
「だからあなたは、深ぶかと歌ってください。のびやかに踊ってください。心をこめて生きてください。たとえあなたが、傷ついていても、傷ついたことなどないかのように、愛してください。」
とあり、さまざまな場面を通じての「生きる」ことの尊さが表現されているのである。
そして、
「まずあなたが愛してください。あなた自身と、人がこの村に生きてあるということを」
とあるが、自己と他者を敬愛することの重要性が示されている。
最後には、次の一文で結ばれている。
もしもたくさんのわたしたちが、この村を愛することを知ったなら、まだ間にあいます。人びとを引き裂いている非道な力から、この村を救えます。きっと
むすびにかえて
日本のみならず、世界全体が、新型コロナウイルスにより苦しめられている現在、どうしても自己中心の利己主義が進みがちであるが、自らのことと同様に、他者のことも考えなくてはならない。
そして、真の意味での「豊かさ」とはなんであるのかを考えるべきときであろう。
お偉いさんの政治家も、国民も、みな同じ「命」なのである。そのなかで、私たちはなにをすべきなのだろうか?
その答えの一端が、『世界がもし100にんの村だったら』に示されているように感じてならない。