コラム
#01
所要時間5分
葬儀と告別式の違いとは?
「葬儀」と「告別式」の違いの違いについてのコラムです。
講義で学べるポイント!
- 「葬儀」と「告別式」の違いを提示とは?
「葬儀と告別式の違いとは?」
会館で葬儀をおこなうことがほとんどである現在、葬儀会館のスタッフが、その司会進行を担っている場合が多い。
開式にあたっては、「ただいまより故○○様の葬儀ならびに告別式を開式いたします」という定型のフレーズを耳にする。ごくまれに、「ただいまより故○○様の葬儀を開式いたします」とのアナウンスを聞く。
後者の場合、「告別式」の概念は存在しないのか?と疑問に思うかもしれないが、そうではない。
ここでは、私なりに「葬儀」と「告別式」の違いを提示しておきたい。
そのことによって、誰のために如何なる目的で執り行う儀式であるのかを、理解いただければ幸甚である。
現在の日本における葬儀は、「仏教離れ」とはいえども、その多くは「仏教」によるものである。メインは、僧侶の読経と引導となろう(宗派によって異なりがある)。
おおよその流れを以下に記しておきたい。
- 開式のことば
- 読経
- 引導
- 弔辞
- 弔電紹介
- 読経
- 焼香
- 喪主挨拶
- 閉式のことば
この式次第にのっとって考えると、葬儀とは開式より引導を渡すまでである。そして、告別式は、弔辞より閉式までである。
では、なにが違うのか? 別な問いを設けよう。
- 葬儀は誰のために行うのか?
- 告別式は誰のために行うのか?
葬儀の主役は「故人」つまりは仏と成られる(成られた)方
告別式の主役は「遺族・縁故者・参列者」つまりは遺された方
このようにして考えると、葬儀とは亡き者(故人)のためであり、故人が成仏するためにおこなう宗教的な儀礼である。対する告別式は、遺された者が「故人に別れを告げる」ことを目的としておこなうセレモニーである。
先に挙げた式次第を考えるに、葬儀とは冒頭より引導までをいい、弔辞や弔電などの奉読は告別式の類いに含まれよう。
これらを理解されている丁寧な司会者であれば、弔辞・弔電の後に、つづけて僧侶に読経するように促す文言として、「ひきつづき、告別式の読経を賜ります」とアナウンスすることもある。
宗派によって考え方は異なるが、大部分の宗派では葬儀における最重要を「引導」と位置づけているであろう。だからこそ、引導の前後に「葬儀」と「告別式」の区別がなされているといっても過言ではない。
葬儀に参列をする場合にも、このような点を意識していただくと、その意義を理解することができるのではないだろうか。(論)