コラム
#01
所要時間5分
仏教的立場から考える「十悪業」や「五逆罪」についてわかりやすく説明します。
講義で学べるポイント!
- 罪とはなんなのか?
- 十悪業とは?
- 五逆罪とは?
仏教的立場から考える罪とは?十悪業や五逆罪をわかりやすく説明
私たちは、誰しもが罪を犯しているでしょう。
その「罪を犯す」ということは、なにも、現在の法律に違反していることだけを言うのではありません。
「生き物を殺すこと」や「前世にて、仏法を誹謗していたこと」なども、仏教的立場から考えますと、罪を犯していることになるのです。
そのように罪を犯した人を、「悪人」と言います。
特に、十悪業や五逆罪などを犯した者のこというのです。
十悪
- 殺生(人畜等一切の生命をもつものの生命を奪うこと。また人の命を縮めたり、間接的に殺すこと)
- 偸盗(他人の物を盗むこと、また贅沢をすれば余分に物をとり、人に不自由をかけるから一種の盗となる)
- 邪婬(自分の色欲を満たすため他人に迷惑をかけること)
- 妄語(嘘をつくこと)
- 綺語(きご=無意味に飾り立てた不誠実な語言)
- 両舌(りようぜつ=人の仲を隔てる二枚舌)
- 悪口(あっく=人の悪いことを吹聴すること)
- 貪欲(とんよく=貧るという迷妄の心、餓鬼道の業因)
- 瞋恚(しんに=怒る心、わがままな心、地獄界の業因)
- 愚癡または邪見(よこしまな見解)
このなかで、①~③は身体による悪、④~⑦は口による悪、⑧~⑩は心によるあくであります。
五逆
- 殺父(しいぶ=父を殺すこと)
- 殺母(しいも=母を殺すこと)
- 殺阿羅漢(しいあらかん=悟りを得た聖者を殺すこと)
- 破和合僧(はわごうそう=僧団を破壊すること)
- 出仏身血(すいぶっしんけつ=生身の仏陀の身より血を出すこと)
これらを犯すと、無間地獄に堕ちるといわれています。
このような十悪や五逆を起こすことは仏教的に許されることではありません。
ですが、悪人だからといって、お釈迦さまからの救いが得られないわけではありません。悪人でさえも、成仏することを、「悪人成仏」といいます。
お釈迦さまの教えの中で、『妙法蓮華経』提婆達多品(だいばだったほん)にて、提婆達多(だいばだった)は天王如来(てんのうにょらい)という記別(きべつ=成仏の保証)を受けられるのです。
お釈迦さまの教えの中で、「悪人成仏」が説かれているのは、この『妙法蓮華経』だけであります。
「悪人でさえも救われるから、なにをしても許される」と解釈してはいけません。
私たちが、命をつなぎ生きてゆく中で、気づかぬ間に、もしかしたら、このような罪を犯してしまっていることもあるでしょう。
その時こそ、真摯に反省をして、仏道修行に励んでいきたいと考えます。