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「億劫(おっくう)」とは?意味と読み方、長い時間が面倒に変わった理由

この用語のポイント

  • 日常では面倒で気が進まないこと
  • もとは一劫の億倍という非常に長い時間
  • 実際に時間のかかる用事でなくても使える

億劫(おっくう)とは、もともと「気が遠くなるほど長い時間」という意味の仏教の言葉です。今は「面倒で気が進まない」という意味で、用事に取りかかるときの気持ちを表します。

億劫の意味と使い方、似た言葉との違い

「億劫だ」「億劫になる」「億劫に感じる」の形で使います。楽しみな用事でも、準備に気が進まないときに使えます。

  • 旅行は楽しみなのに、荷物を詰めるのが億劫だ。
  • 返信は一分で済むのに、断り方を考えるのが億劫だ。
  • 片づけを億劫がって、届いた箱をそのままにしている。

「返信が億劫だ」は「返信する気が進まない」と言い換えられます。「億劫がる」は、面倒そうな様子を見せることです。似た言葉との違いを、たとえば誘いを断る返信の場面で比べてみましょう。

言葉返信の場面での例注目するところ
面倒予定を確認し、断る理由を整理して書くのが面倒だ作業の手間や、それをわずらわしく思う気持ち
億劫短く断れば済むのに、文面を考え始める気になれない手間の大小にかかわらず、取りかかる気持ちが重いこと
臆病(おくびょう)相手に嫌われるのが怖くて、断ることに臆病になる怖がったり、しりごみしたりすること

「面倒」と「億劫」は重なる場面もあります。怖さから返信が億劫になることもありますが、億劫自体に「怖い」という意味はありません。相手への不安がなくても、言葉を選ぶのがわずらわしいときに使えます。

語源の「劫」と、面倒という意味への変化

「劫(こう)」は、古代インドの言語であるサンスクリット語のカルパ(kalpa)の音を漢字に写した「劫波(こうは)」などに由来する、非常に長い時間の単位です。『デジタル大辞泉』では、仏教語の億劫を「一劫の億倍」に当たる時間としています。「一億年」という意味ではありません。

天台宗の公式法話は、『雑阿含経(ぞうあごんきょう)』や、仏教の教えを論じた『大智度論(だいちどろん)』にあるたとえとして、次の内容を挙げています。

  1. 巨大な石山を百年に一度、柔らかな布でなでる。石山がすり減ってなくなっても、まだ一劫は終わらない。
  2. 大きな城を満たした芥子(けし)の種を百年に一粒ずつ取り出す。すべてなくなっても、まだ一劫は終わらない。

想像しきれない長さを伝えるたとえです。劫には大きさの区分や異なる説明があり、一律に「何年」とは換算できません。

『デジタル大辞泉』は、あることをするのに長い時間がかかるところから、面倒で気が進まない意味になったと説明しています。日蓮宗の用語説明では「百千万億劫(ひゃくせんまんおくこう)」の略ともされ、極めて長く耐えがたいことから、わずらわしいという意味へ移ったとされています。「おっくう」という読みも、「おっこう」「おくこう」の音が変化したものです。

今の「億劫」は所要時間より気持ちを表す

もとの意味は長い時間でも、今の「億劫だ」は所要時間を伝える言葉ではありません。たとえば、ごみを玄関の外へ出すだけでも、着替えて外に出るのがわずらわしければ「ごみ出しが億劫だ」と言えます。

手間のかかる料理でも、作るのが楽しみなら億劫とは限りません。「準備に時間がかかる」は所要時間、「準備が億劫だ」は気持ちを伝える、と言い分けると、何を負担に感じているかが伝わります。

億劫なときは「どこが重いか」を分けてみる

たとえば「荷造りが億劫だ」と感じても、持ち物が決まらないのか、物が見つからないのかで、次にすることは変わります。

持ち物が決まらないなら、先に旅行の行程を見ます。「外を歩く日は歩きやすい靴」「宿で洗濯できるなら着替えを減らす」と、予定に合わせて必要品を決めます。判断が負担なら、詰める前に選ぶ基準を作ります。

物が見つからないなら、充電器や洗面用品の置き場所を確認し、一か所に集めます。持ち物の一覧を作り直すより、探す手間を減らすほうが、詰める作業につながります。

返信で用件がまとまらないなら要点を一行書き、断り方に迷うなら誘いへのお礼を添える、と分けられます。これは経典の手順ではなく、日常の工夫です。断る返信が億劫なら、下書きに「誘ってくれてありがとう。今回は参加できません」と置くところから始めてみてください。

よくある質問

「おっこう」と読むのは間違い? 方言ですか?

「おっこう」「おくこう」も辞典に載る読み方で、仏教で長い時間を表すときに使われます。日常の「面倒だ」という意味では「おっくう」が一般的です。「おっくう」は特定の地域だけの方言ではありません。

億劫の反対語は「刹那」ですか?

長い時間を表す「劫」と対比されるのが、ほんの短い時間を表す「刹那(せつな)」です。一方、日常の「億劫だ」の反対を言いたいなら、「気が進む」「進んで取り組む」などが自然です。時間と気持ちの意味を分けて考えましょう。

億劫は英語でどう言いますか?

『プログレッシブ和英中辞典』では a bother や a hassle が挙げられています。たとえば「その手続きが億劫だ」なら、It's a hassle to do the paperwork. のように、何を面倒に感じるのかを添えて表せます。

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参考文献

  • 小学館『デジタル大辞泉』「億劫」「劫」「臆病」
  • 天台宗公式サイト『法話集』「億劫(おっくう)」
  • 日蓮宗公式サイト『じつは身近な仏教用語』「億劫」
  • 小学館『プログレッシブ和英中辞典 第4版』「億劫」

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