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報恩講とは?浄土真宗の大切な行事の意味・時期とお寺での過ごし方

このコラムのポイント

  • 教えに出会えた恩を確かめる大切な法要
  • 本山と地域のお寺では日程が異なる
  • 初参加は法話を聞くことから始められる

報恩講(ほうおんこう)とは、浄土真宗の教えを開いた親鸞聖人(しんらんしょうにん)の命日を縁に、教えに出会えた恩に感謝し、仏教の話を聞く集まり(法要)です。浄土真宗で最も大切にされる行事で、東本願寺は毎年11月21〜28日、西本願寺は1月9〜16日に営みます。地域のお寺の日程はそれぞれ異なります。初めてなら、皆とお参りし、お坊さんの話に耳を傾けるところから始められます。

報恩講の「恩」は、教えに出会えたことへの感謝

「報恩」は恩に報いること、「講」は教えを聞く集いです。ここで確かめるのは、すべての人を救おうとする仏さま、阿弥陀仏(あみだぶつ)の教えが、親鸞聖人や後の人々を通じて自分に届いたという恩です。仏さまについては、阿弥陀仏でも学べます。

浄土真宗本願寺派の公式説明では、報恩講は親鸞聖人に感謝し、阿弥陀仏の救いをあらためて受け止める法要とされています。東本願寺の案内も、お勤めにお参りし、法話(ほうわ・お坊さんが語る仏教のお話)を聞くことを参拝の基本としています。お金や品物を納めるだけでなく、本堂に座って話を聞くことが大切にされているのです。

いつ行われる?本山と地域のお寺の日程

宗派の中心となるお寺を「本山」といいます。代表的な本山の日程は、次のとおりです。開催期間のうち、いつ法話を聞けるかまで見ると、訪れる日時を決めやすくなります。

本山・場所報恩講の時期確かめたいこと
東本願寺(真宗大谷派)毎年11月21〜28日当年の法要・法話の時間
西本願寺(浄土真宗本願寺派)毎年1月9〜16日当年の法要・法話の時間
各地のお寺・家庭それぞれの日程で実施開催日、申込の有無、食事の有無

時期が違う理由は、暦の扱いにあります。親鸞聖人の命日は旧暦の11月28日で、新暦に換算すると1月16日です。東本願寺は旧暦の月日を受け継ぎ、現在のカレンダーで11月28日を結びの日としています。毎年、旧暦から日付を計算し直しているわけではありません。

本願寺派では、命日に合わせた本山の法要を「御正忌報恩講(ごしょうきほうおんこう)」と呼びます。地域のお寺では、本山にお参りできるよう日程を繰り上げることがあり、「お取り越し」「お引き上げ」とも呼ばれます。秋から冬に勤める例がありますが、日程は宗派によって違います。同じ宗派でも地域やお寺ごとに異なるため、届いた案内を確かめましょう。

お寺では何をする?お勤め・法話・お斎

お勤めは、仏教の教えを記した経典などを声に出して読むことです。法話では、その教えの意味や暮らしとの関わりを聞きます。東本願寺の公式日程にある、2026年11月21日の御影堂(ごえいどう・親鸞聖人の像を安置するお堂)の予定を見ると、両者の違いがつかめます。

  1. 午前9時から法話。お坊さんによる仏教のお話を聞く時間です。
  2. 午前10時から音楽法要。合唱団の歌声とともに営まれる法要にお参りします。
  3. 午後1時15分から、門徒(教えをよりどころにする人)や関係学校の生徒の話(感話)と、お坊さんの法話。午後2時からは午後の法要です。

この例では、お勤めの前に法話があります。「法要は10時から」という情報だけで出かけると、午前の話を聞き逃してしまいます。日程表の「法話」「感話」の欄と会場を見てから、到着時刻を決めましょう。これは特定の日の予定で、順序や時間は開催日・お寺によって変わります。初めてなら、入口で座る場所や借りられる本を尋ねると、その後の流れに入りやすくなります。

お勤めで親しまれている『正信偈(しょうしんげ)』は、親鸞聖人が念仏の教えをたたえた、うたの形の文章です。ここでいう念仏は、「南無阿弥陀仏」と仏さまの名を称えること。正信偈は、厳密にはお釈迦さまが説いた経典そのものではありません。また、報恩講では、親鸞聖人の生涯を伝える『御伝鈔(ごでんしょう)』が読まれることもあります。

法要に伴っていただく食事が「お斎(おとき)」です。東本願寺では、肉や魚を使わない精進料理として案内されています。同派の『同朋新聞』2025年1月号によると、前年の報恩講では、能登の伝統野菜を練り込んだ中島菜うどんと、石川県産のお米が献立に入りました。能登半島地震からの復興を支えるためです。全国の人々が食材を持ち寄る歩みに、その年の被災地への支援も重なった食事でした。献立や実施の有無は地域やお寺によって異なり、毎年同じ料理が出るわけではありません。

手を合わせることを合掌、お香を供えることを焼香といいます。読む文章や焼香の回数、進行は宗派によって違います。以前に参列したお葬式と回数が違っても、間違いとは限りません。戸惑ったときは係の人に尋ねましょう。

初参加の準備は、案内の確認とひとことから

服装に指定がなければ、落ち着いた清潔な平服を目安にします。平服とは、普段の外出に使うような服のことです。座っていて苦しくない服を選び、寒い時期は脱ぎ着できる上着を用意します。持っている念珠(ねんじゅ・数珠)と、聞いた言葉を書き留める小さなメモ帳があれば、持参するとよいでしょう。

お布施は、仏教や教えを伝える営みを支えるために差し出すものです。「懇志(こんし)」は、自分の志を表して納めるものをいいます。東本願寺の2026年の案内では、参拝は無料で、懇志は希望する人から受け付け、お斎は別途申し込む形です。地域のお寺でも同じとは限らないため、金額や納め方を全国共通の参加料金と考えないようにします。

案内状でわからないことは、次の文から必要な箇所を選んで、一度の問い合わせにまとめられます。「初めて報恩講に伺います。法話だけの参加はできますか。何時にどこへ行けばよいでしょうか。申込は必要ですか。服装の指定や持ち物、本の貸出はありますか。懇志とお斎代は別ですか。金額の案内と、袋の表書き・納め方も教えてください」

椅子が必要ならその希望を、子どもと一緒なら年齢を添えます。お斎を希望し、食物アレルギーがある場合は、申込時に食べられない食材を具体的に伝えましょう。返事をもらったら、到着時刻・受付場所・予約した内容を案内状の余白に書いておくと、当日に迷いにくくなります。

聞いた言葉を、いつもの生活に持ち帰る

報恩講で聞いた教えを、自分の暮らしや人との関わりに重ねて考えてみましょう。聞いて疑問に思ったことは、次の法話やお坊さんとの対話で尋ねられます。

暮らしを振り返る一例として、「困ったときは一人で抱え込まず、助けを求めてみよう」と考えてみます。これは経典や特定の法話の引用ではなく、日常への生かし方の例です。

たとえば、仕事で困っているのに「自分だけで片づけなければ」と相談を先延ばしにした場面を思い返してみます。この言葉を手がかりにすると、「一人でできなかった」から「誰に、何を相談できるだろう」へ、問いを変えられます。

一方で、「人に頼ることはわかるけれど、阿弥陀仏に支えられるとはどういうことか」という疑問が残るかもしれません。その疑問も、次にお坊さんに尋ねる内容になります。感謝できたという感想だけで終えず、聞いた言葉と、まだわからない点を分けて残すと、念仏の教えをもう一歩聞く手がかりになります。

よくある質問

門徒でなくても報恩講に参加できますか?

門徒とは、浄土真宗の教えをよりどころにする人を指します。東本願寺の報恩講は、どなたでもお参りできると案内されています。地域のお寺でも、門徒以外の参加や事前申込について尋ねてみましょう。

お経が読めなくても大丈夫ですか?

初めから声を合わせられなくても、まずは耳を傾けてみてください。読み方や本のページがわからなければ、近くの係の人に尋ねられます。法話を聞くことも、報恩講の大切な時間です。

先祖供養やお盆とは何が違いますか?

お盆は、ご先祖や亡き人をしのぶ機会として広く親しまれています。報恩講は、親鸞聖人の命日を縁に、教えに出会えた恩を確かめ、今を生きる私たちが教えを聞く法要です。お盆などの仏事の受け止め方も宗派によって違います。

自宅でも行いますか?お寺に行けないときは?

家庭でお坊さんを迎え、仏壇の前で勤める報恩講もあります。希望する場合は、お付き合いのあるお寺に日程や準備を相談しましょう。外出が難しいときは、本山などが行う法要や法話の動画配信を通じて、教えに触れる方法もあります。

報恩講は浄土真宗だけのものですか?

教えを開いた人や師の恩に報いる法要は、ほかの宗派にもあります。この記事で扱っているのは、親鸞聖人の命日を縁に勤める、浄土真宗の報恩講です。

もっと学びたい人へ

まず案内状で法話の開始時刻と会場を確認し、到着時刻を決めましょう。参拝後は、気になった言葉と、次に尋ねたいことを一つずつメモします。「助けを求める」が心に残ったなら、今日相談できる相手と用件も書き添えてみてください。

参考文献

  • 浄土真宗本願寺派 公式サイト
  • 真宗大谷派(東本願寺)公式サイト
  • 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館 公式サイト
  • 龍谷大学 宗教部「報恩講」

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